溶接棒の種類と用途を徹底比較:現場で使える選び方ガイド

溶接棒の種類と用途を徹底比較:現場で使える選び方ガイド

溶接現場で「溶接棒 種類 用途」と検索するあなたは、日々の作業でどの棒を使えばよいか迷っているか、最適な溶接性・耐久性を追求したい技術者でしょう。本記事では、溶接棒の種類を基礎から応用まで網羅し、用途に即して失敗しない選び方を提供します。

目次

目次

  • 溶接棒とは何か:基本構造と機能
  • 主な溶接棒の種類(被覆系統別)
  • 各種類の特徴と用途適合性
  • 選定時のポイントと注意点
  • 形状・直径・電流の関係
  • まとめ:用途・材料別の最適選択

溶接棒とは何か:基本構造と機能

溶接棒、特に**被覆アーク溶接棒**(手溶接用電極棒)は、内部に金属心線、その周囲を保護被覆材(フラックス材)が覆っている構造です。被覆材は空気との反応を防ぐガスを発生させたり、スラグを形成して溶接金属を保護したり、溶融性を制御する役割を担います。被覆アーク溶接法の概要については、アーク溶接の基礎知識として、母材との融合原理等とともに解説されています。

主な溶接棒の種類(被覆系統別)

日本の一般的な被覆アーク溶接棒は、被覆材(フラックス)の系統によって**イルミナイト系、ライムチタニヤ系、低水素系、高酸化チタン系**などに大別されます。各系統によってアークの特性、スラグ排除性、吸湿性、溶け込み特性などが変化します。モノタロウの基礎知識でもこの分類が紹介されています。

イルミナイト系

イルミナイトを主に含む被覆で、アークが強く、溶け込みやすい性質があります。比較的扱いやすく、厚板溶接など比較的重負荷用途にも適するケースがあります。ただし、スパッタ量がやや多くなることがあります。

ライムチタニヤ系

ライム(炭酸カルシウム)+高酸化チタンを用いた系統で、**スパッタ・ヒュームが少なくアークが安定**。日本国内軟鋼用棒としてもっとも普及している系統の一つです。日本鋼材・溶接材料の技術情報でもこの系統の特徴が紹介されています。

低水素系

水素含有量を抑えた被覆材を用いることで**ひび割れ耐性を強化**したタイプです。高張力鋼、厚板、応力条件の厳しい用途でよく使われます。湿気を吸いやすいため、保管・乾燥管理に注意が必要です。

高酸化チタン系

被覆材に酸化チタン成分が高い種類で、**ビード外観がきれい**になる反面、溶け込みが浅めという特性があります。薄板や外観重視用途で使われることがあります。

各種類の特徴と用途適合性

以下のような観点で種類と用途をマッチングさせます:

  • 溶接対象の母材(軟鋼・高張力鋼・ステンレスなど)
  • 溶接姿勢(平向・立向・仰向など)
  • 要求強度・靱性・耐割れ性
  • 作業環境(湿気・風・アクセス性など)

例えば、軟鋼構造物ではライムチタニヤ系がよく使われ、厚板や応力条件の高い部位ではイルミナイト系や低水素系が選ばれやすくなります。また、ステンレス鋼母材にはステンレス用溶接棒(例:308、309、316 系)があり、材質適合性を考えて選びます。ステンレス溶接棒の材質適合性例については、SUS304には308系溶接材料が使われる例も知られています。SUS304に使用する溶接材料の例

選定時のポイントと注意点

どの溶接棒を選ぶべきかを現場判断するため、以下のポイントを押さえておきましょう:

  1. 母材材質との化学的適合性と応力条件
  2. 溶接姿勢・形状制限・アクセス性
  3. 溶接電流・電圧範囲との整合性
  4. 乾燥性・吸湿管理(特に低水素系)
  5. 欠陥リスク(クラック、層間剥離など)への対策

また、JIS 規格では、被覆アーク溶接棒の種類を記号で表現する体系があります。たとえば、JIS Z 3211 規格では、溶着金属の引張強さ、被覆系統、溶接姿勢、電流の種類などをコードで示します。JIS Z 3211 規格の解説

形状・直径・電流の関係

溶接棒の直径によって適用できる電流範囲が異なります。例えば、2.6mm~6.0mm 程度の棒径で電流レンジが変化します。

よくある質問

Q1. 溶接棒の種類ごとに、どのような用途で使い分けるべきですか?

溶接棒は被覆材の系統によって用途が異なります。たとえば、ライムチタニヤ系は軟鋼構造物や一般製造に、低水素系は高張力鋼や厚板構造に適しています。また、イルミナイト系は溶け込み重視の溶接、高酸化チタン系は外観重視の薄板溶接に使われます。溶接姿勢や母材に応じた最適選定について、詳しくは溶接棒の選定ポイント解説で紹介しています。溶接棒の種類や特性の詳細は、日本溶接協会の技術資料も参考になります。

Q2. 低水素系溶接棒を使用する際の保管方法は?

低水素系溶接棒は吸湿性が高く、湿気を吸うと溶接欠陥の原因になります。使用前は専用の乾燥炉で再乾燥(通常350〜400℃で1〜2時間)を行い、密閉容器で保管することが推奨されます。

Q3. ステンレス鋼に使う溶接棒はどの種類を選べば良いですか?

ステンレス鋼用には、母材の種類に応じて308、309、316系などの溶接棒を選びます。たとえば、SUS304には308系が一般的に使用されます。異種金属溶接では309系が有効な場合もあります。

まとめ:用途・材料別で選ぶ最適な溶接棒

「溶接棒 種類 用途」で求められるのは、被覆系統・母材対応・作業環境・強度特性を踏まえた最適選択です。本記事では、被覆系統分類、特徴、用途適合、選定ポイント、形状と電流関係まで幅広く紹介しました。現場での判断軸が明確になるように整理しましたので、具体的な用途設計や溶接作業にぜひ役立ててください。

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