溶接におけるピットとは?原因・対策・防止策を徹底解説

溶接におけるピットとは?原因・対策・防止策を徹底解説
溶接作業を行う際、金属表面に思わぬ小さな穴ができてしまうことがあります。これがピットです。見た目には小さな欠陥でも、構造物の強度や耐久性に大きく影響するため、原因や防止策を理解することが重要です。本記事では、ピットの発生メカニズムから具体的な防止策まで、現場で役立つ知識を詳しく解説します。
ピットとは何か?基本的な定義
ピットとは、溶接金属や母材表面に生じる小さな穴やくぼみのことを指します。英語では「pitting」とも呼ばれ、腐食の進行やガス混入、溶接不良などが原因で発生します。ピットは見た目には微小でも、応力集中点となり、溶接部の強度低下や割れの原因となるため注意が必要です。
ピットが発生する主な原因
1. ガス混入
溶接中に保護ガスが十分に供給されない場合、母材表面に酸素や水分が混入し、局所的な酸化が発生します。これがピット形成の大きな原因です。特にステンレス鋼やアルミニウムでは注意が必要です。
2. 母材の汚れや油分
金属表面に付着した油脂や酸化皮膜、錆は溶接時にガスを発生させ、小さな穴として残ります。作業前のクリーニングは必須です。
3. 溶接条件の不適切さ
電流や電圧が適切でない場合、溶融池の温度や流動性が不均一になり、ピットが生じます。特に薄板や狭い溶接箇所では過熱や不十分な溶融が問題となります。
4. 溶接ワイヤ・フラックスの問題
ワイヤ表面の酸化やフラックスの水分含有は、アーク内でガスを発生させ、ピットの原因になります。使用前の乾燥や保管状態の管理が重要です。
ピットの発生メカニズム
ピットは局所的な酸化やガス発生により金属表面に穴が生じる現象です。一般的には以下の流れで形成されます:
1. 表面に酸素や水分が接触 2. 局所的な酸化反応が発生 3. 小さな凹みとして残留 4. 応力集中点となり進行することも
ステンレス鋼のピットは特にクロム酸化皮膜の破壊によって起こりやすく、日本溶接協会でも詳しく解説されています。
ピットが及ぼす影響
1. 溶接部の強度低下
ピットは微小でも応力集中点となり、疲労破壊や亀裂の発生リスクを高めます。
2. 腐食進行の促進
穴の内部は酸素の循環が悪く、腐食が局所的に進行しやすい環境となります。長期使用部材では寿命低下につながります。
3. 外観不良
製品の外観にも影響します。特に食品・医療・化学設備では、表面品質の維持が重要です。
ピットを防止するための具体策
1. 適切なガス供給
アルゴンやヘリウムなどの保護ガスを十分に供給し、アーク周辺の酸素混入を防ぎます。特にTIG溶接では流量と角度の管理が重要です。
2. 母材表面の徹底洗浄
溶接前に油分や酸化皮膜、錆を完全に除去します。化学洗浄やブラスト処理も有効です。
3. 適切な溶接条件の設定
電流、電圧、速度を母材・板厚に合わせて調整することで、溶融池の安定性を確保できます。薄板溶接ではパルス制御も有効です。
4. ワイヤ・フラックスの管理
乾燥した保管環境を維持し、酸化や水分の混入を防ぎます。使用前に確認・前処理を行うことが推奨されます。
ピットの検査・評価方法
ピットの発生を早期に確認することで、製品不良や構造物の損傷を未然に防げます。代表的な検査方法は以下の通りです:
| 検査方法 | 特徴 |
|---|---|
| 目視検査 | 簡易的だが微小ピットは見逃す可能性あり |
| 浸透探傷検査(PT) | 表面ピットを染色で確認可能 |
| 超音波検査(UT) | 内部欠陥の確認に有効 |
| 電子顕微鏡観察 | 微細なピット形状の詳細解析に適する |
検査結果を基に、溶接条件や材料管理の改善を行うことが推奨されます。
まとめ:ピット対策で高品質溶接を実現
溶接におけるピットは小さな欠陥ですが、構造的な影響は無視できません。発生原因の理解、母材・ワイヤ管理、適切な溶接条件の設定、そして検査による早期発見が重要です。これらを徹底することで、耐久性の高い溶接製品を実現できます。
